患者指導が上手くいくコミュニケーション技術

看護師にとって、患者さんとのコミュニケーションを図ることは、何より大切なことであり、難しいことでもあります。看護学生や看護師1~2年目の頃は、患者さんとのコミュニケ―ションが上手くとれず、『失敗した…』と落ち込むことが多いかも。

特に、がんや慢性疾患を持つ患者さんとのコミュニケーションを図る時、その難しさを感じる事が多いと思います。そんな時に、役立つポイントを挙げていきます。

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患者が自分の病状を理解し、患者が『病気と共に生きることを支える』ことができる看護指導等におけるコミュニケーション技術を身に付ける

患者の『病気についての理解度』を知る

患者さんは、病名も病状も説明されています。しかし、病気の事を『理解している』とは限りません。

また、今の時代、インターネットを調べ、色々な情報を得たがゆえに混乱していることもあります。病気や病気に必要な検査・治療の説明や指導が進まないと感じた時は、患者さんが病気をどうとらえているかを、患者さんの言葉で話してもらうことが『病気の理解度』を知るために大切です。

ペーシングを心掛ける

忙しい看護業務の中で、患者さんのペースに合わせてコミュニケーションをとる事は大変ですが、予め時間設定をして、患者さんと関わる時間を決めると目的がはっきりして効果的に時間が使えます。

患者さんのペースに合わせる技術は、同じペースで歩いたり、話したりするだけではありません。
もしかしたら、患者さんは・・・

  • 話すより、読むことが好き
  • 一度に説明されても覚えられない
  • 自分が理解したうえで、判らないことを聞きたい…

と思っているかもしれません。

患者指導をする時は、患者さんの今までのコーピング方法を知ることもペーシングになります。指導は看護師が主導権を持つわけではありません。

患者が理解しやすい方法を取り入れて患者が主体的に実践できることが目的です。患者が一番取り入れやすい方法を知りましょう。

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指導内容を自分が理解する

患者さんは、看護師がゆとりをもって説明してくれるその姿勢に安心感を得ます。慣れない指導を行う時は、しっかりパンフレットを読み込み不意な質問にも対応できるよう準備をしておきます。

パンフレットを読む込みことで、目が文字を追わずにすみ、患者さんの反応を見る余裕が生まれます。

説明内容は統一する

患者さんから一番多く聞かれる不満は『看護師さんによって言うことが違う』ことです。『違う』といわれた時は、怖がらず、何が違うと感じたのかを話してもらい、解決策を考えます。

まずは、説明する内容が統一さているかを把握。同じ内容で説明しているのにあなたが上手くいかないと感じたら、患者指導が得意な看護師の方法を見学してみましょう。

先輩看護師の説明と自分がどう違うのか、いい面・悪い面が見えてくると思います。先輩看護師の説明方法を取り入れながら、上手は指導方法を身に付けます。

患者さんの『言っていることが違う』ということは、言い回しが違うということではなく、患者さんが判りやすい説明をしているかどうかも大きく影響されます。コミュニケーション技術も練習です。上手な先輩を見つけることも必要です。

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『説明した』=『理解した』ではないことを知る

よくありがちな思い違いは『説明したのにできない患者』と看護師が思うことです。指導した時間に応じた反応を患者さんに求めてしまうと一方的なコミュニケーションになり、効果的な指導ができません。

オレムのセルフケア理論に当てはめて考えてみましょう。患者さんは『一部代償システム』か、『支持・教育システム』のどちらの看護援助が必要な時期ですか?

患者さんが必要とする適切な援助方法を考えてこそ、『指導した=理解した』に近づくことができます。

できないことを責めない

がんや糖尿病などの慢性疾患をもつ患者さんには、治療に伴い制限を守ってもらう必要があります。そのために指導が必要になりますが、守れない患者さんも出てきます。

ここで、コミュニケーション力を発揮。『できない』ことを責めるのではなく、『しなかった』理由を聞いてみます。この時のポイントは、相手が話しやすい雰囲気を作る事です。

『できない』ことは、解決策を見つけやすいですが、『しなかった』ことは患者さんの意思が働いています。『できないこと』『しなかったこと』を区別し、その上で対応策を練ります。技術的な問題は、患者さんと話し合い、個別性に応じた方法を見つけていきます。

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退院後の生活を考えて指導

患者さんは自分達よりも人生の先輩です。病院で出会う患者さんは、生活の一部を切り取った『患者役割』をしています。患者さんの生活での役割を理解しないで、指導をしても患者さんは継続し指導したことを守ることはしません。

患者さんの生活者としての役割を理解したうえで、患者指導ができるよう工夫します。

  • ○仕事での役割は?
  • ○家庭での役割は?
  • ○コミュニティーでの役割は?

…等

患者さんにとって、どの役割が大切なのかを理解し、その役割が可能な限り続けられる方法を考える姿勢を見せます。自分が得た情報を、チームで話あることも必要になるかもしれません。

慢性疾患を抱えて生きる患者さんは、生活の中での知恵を知らずに身に付け、自己流に考えて対応していることも多いです。慢性疾患の患者さんを指導する際には、社会での役割を知ることも大切なポイントです。

家族を巻き込む

患者さんによっては、ご家族を巻き込むことも効果的です。この時、患者さんに家族と一緒に指導することを伝えます。家族の方を巻き込みながら、患者さんを中心に話を進めることが『指導が上手くいく』コツです。

相手は人生の先輩

患者さんは、人生の先輩であり、病気を背負って生きる体験者です。私たちは、患者さんの人生の岐路に関わり、必要な指導をしている立場にいるだけです。自分よりも相手の方が病気についての知識を持っていることもあります。

相手を尊重したうえで、伝えなければいけないことを伝える、誠意をもって伝える事が、慢性疾患患者さんへの指導を行うためのコミュニケーションに必要な要素です。逃げないで、相手と一緒に成長しつつ、看護師として伝えるべき内容を伝えていきましょう。