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- 消化器の過去問2
【第100回】開腹術後の患者で機械的イレウスを疑うのはどれか.
- 排ガスの停止.
- 白血球数の減少.
- 腸管のけいれん.
- アンモニア臭の吐物.
【解説】
- ○ 開腹手術の合併症として,機械的イレウスが生じることがある.腸液・ガ
ス・糞便などが腸内に充満し,排便や排ガスがなくなり,腹痛・嘔吐・腹部
膨満などの症状が出現する. - × 機械的イレウスは,腸内細菌の増殖に伴い,白血球数増加がみられる.
- × 腹部手術後などの腸管のけいれんは,機能的イレウスに含まれる.
- × アンモニア臭は,肝硬変の非代償期の特徴なので,イレウスとは無関係で
ある.
【正解①】

【第101回】
総胆管結石による閉塞性黄疸と胆管炎と発症した患者に,内視鏡的鼻胆道ドレナージ術を行った.ドレナージ術は問題なく終了し,術後24時間の経過は良好である.正しいのはどれか
- 抗菌薬の投与は,必要ない.
- 血清ビリルビン値が低下する.
- 尿の色が黄色から褐色に変化する.
- ドレナージチューブをクランプする.
【解説】
- × 胆管炎を併発しているので,抗菌薬が用いられる.
- ○ 胆道ドレナージによって胆汁を流出されるので,上昇していた血清ビリ
ルビン値が低下する. - × 血清ビリルビン値が低下するとビリルビン尿(褐色)から,正常尿(黄
色)に変化する. - × ドレナージチューブは,クランプしない.
【正解②】
【第97回】ICG検査(indocyanine green test)の方法で正しいのはどれか
- 投与量は体表面積によって算出される.
- ICG静脈内注射前と2時間後の2回採血する.
- 採血と採血の間に500ml飲水する.
- ICGを静脈内注射した反対側の静脈から採血する.
【解説】
- × 投与量は体表面積でなく,体重によって算出される.(ICG0.5㎎/㎏)
- × 注射前とシアニン系色素のインドシアニングリーンを肘静脈に注入し
た後,正確に15分後に採血を行い,後の濃度を比較する.これにより肝細
胞機能レベルの判断に役立つ. - × 採血の間は,飲水はしない.
- ○ ICG注射後15分経過したところで,反対側の静脈から採血する.ICGは腎
臓からは排泄されず,抱合を受けずに胆道系に排泄される.15分後にICG
が90%以上胆道系に排泄されて,10%以下になっていれば正常と判断
される.
【正解④】
【第96回】肝硬変患者の意識が混濁し始めた.アセスメントで最も重要なのはどれか.
- 血糖値の上昇.
- ケトン体の増加.
- 血漿浸透圧の上昇.
- 血中アンモニア値の上昇.
【解説】
- × 肝臓は血糖の調整に関与しているので,肝機能が障害されると血糖値の
上昇がみられることがあるが,意識の混濁との関連は薄い. - × 血糖コントロールの異常や栄養障害によってケトン体の増加も考えら
えるが,意識の混濁との関連は血中アンモニア値の上昇よりも低い. - × 肝機能の低下により,肝臓でのたんぱく合成が減少するので,血漿浸透圧
は低下する. - ○ たんぱく質が体内で代謝されるとアンモニア等の代謝産物ができる.ア
ンモニアは中枢神経に対する毒性を持つため,正常時には肝臓で代謝さ
れて無毒化させる.しかし,肝硬変ではこの作用が働かず,肝性脳症とな
るため,血中アンモニア値の上昇が最も大切.基準値は30~86㎍/dl
であり,通常50㎍/dl以下を正常とすることが多い.
【正解④】
【第101回】食道静脈瘤破裂をきたしたとき,一時的な止血に使用するのはどれか
- 胃管.
- 胸腔内ドレーン.
- Swan-Ganz(スワン-ガンツ)カテーテル.
- S-B(Sengstaken-Blakemore〈ゼングスターケン-ブレークモア〉)チューブ.
【解説】
- × 全身麻酔などの影響か腸管麻痺をきたした場合に,内容物が胃に貯留す
るため,それを体外に排液する目的で行う.また,食事を摂取できない患
者に栄養物や内服液の投与を行う場合に用いる管である. - × 腹水が貯留した場合,腹腔外に排出する目的で行われたり,術後の出血や
縫合不全などの徴候を早期発見する目的で挿入する. - × 心機能を連続的に測定する肺動脈カテーテルのこと.
- ○ ゼングスターケン-ブレークモアチューブは,カテーテルについた風船を
膨らませて,食道静脈瘤破裂の際に出血部位を圧迫止血するものである.
【正解①】

【第99回】
次の文を読み[問題1] [問題2] [問題3]の問いに答えよ.
62歳の男性.仕事柄,海外への出張が多い.元来責任感が強く,家族や会社での信頼も厚かった.東南アジアから10日前に帰国してから全身の倦怠感を訴えていた.本日,午後9時ごろ突如手の震えが出現し「昨年死んだはずの友人が部屋に来ている」と大声で叫びだしたため,家族に伴われて救急外来を受診した.体温36.5℃.脈拍72/分.血圧124/76㎜Hg.眼球結膜に黄染が認められ,血液検査が実施された.
【問題1】
診察室ではうつろな表情で落ち着かない様子であるが,興奮することはない.外来での対応で最も優先度が高いのはどれか
- 頭部CT.
- 腰椎穿刺.
- 隔離室への保護.
- 抗精神薬の投与.
【解説】
- ○ 海外渡航歴や眼球結膜の黄染,突然の手の震えなどの情報から,多方面の
検査が必要になる.選択肢では頭部CTが優先される. - × 平熱であるため感染症の可能性は低く,髄膜炎の徴候もないので腰椎穿
刺の必要性はない. - × 隔離室入室の基準にない.また,保護室に収容するには原則として精神保
健指定医の指示が必要となる. - × 精神疾患と診断されたわけではないので,抗精神病薬を使用する必要性
はない.
【正解①】
【問題2】
患者は看護師に「自分は命が狙われている.助けてくれ」と話し始めた.対応で最も適切なのはどれか
- 「安静が必要なので,静かにしていてください」
- 「あなたが命を狙われているはずがありません」
- 「そうですね.窓の外に隠れている人がいるかもしれませんね」
- 「もしそのようなことがあっても,私達がいますから安心してください」
【解説】
被害妄想がみられており,恐怖感を感じている.妄想に対しては否定も肯定もせずに患者の気持ちを落ち着かせる言葉かけが必要である.
【正解④】
【問題3】
血液検査で,総ビリルビン3.6㎎/dl,直接ビリルビン2.0㎎/dl,AST〈GOT〉3,500IU/ℓ,ALS〈GPT〉4,200IU/ℓ,プロトロンビン活性〈PT%〉35%(基準80~120)が認められた.最も考えられるにはどれか
- 統合失調症.
- 症状精神病.
- パニック障害.
- 身体表現性障害.
【解説】
- × 妄想は見られているが,明らかな身体疾患が認められるため,統合失調症
とは考えにくい. - ○ 脳以外の身体疾患に随伴して起こる精神障害(症状精神病)と考えら
れる. - × パニック障害は精神障害の一つで,症状は主として強い不安感である.妄
想は見られているが,不安感の訴えはない. - × 身体表現性障害とは疼痛や嘔気などの自覚的な身体症状があり,日常生
活を妨げられているが,それを説明するような身体疾患,何らかの薬物の
影響,他の精神疾患などは認められない障害をいう.心理的社会的要因に
よって説明される障害.
【正解②】

【第99回】
次の文を読み[問題1] [問題2] [問題3]の問いに答えよ.
60歳の男性.会社役員.10年前にC型肝炎と診断され通院治療を続けている.1か月前の定期受診で肝細胞がんを指摘され,TAE(肝動脈塞栓療法)を受けることとなった.
【問題1】
TAEの説明で適切なのはどれか.2つ選べ
- 腹部を穿刺して行う.
- 治療後5~6時間穿刺部を圧迫する.
- 治療後1日は絶食である.
- 治療後に発熱することがある.
- 治療ではエタノールを使用する.
【解説】
- × 肝動脈塞栓療法は,鼠径動脈を穿刺して行う.
- ○ 動脈を穿刺するため.穿刺部位は3時間の砂嚢固定,6時間程度の圧迫止
血が必要となる. - × 治療終了後はすぐに飲水が許可され,夕飯より食事摂取可能である.
- ○ 動脈内に異物を挿入したため,合併症として発熱をきたすことがある.
- × 治療には,ゼラチンスポンジやゲルフォームなどを用いる.エタノール注
入はがん細胞を死滅させる目的で行う.
【正解②④】
【問題2】
治療前の血液検査ではアルブミン2.8g/dl,AST〈GOT〉123IU/ℓ,ALT〈GPT〉130IU/ℓ,プロトロンビン活性〈PT%〉58%(基準80~120)であった.TAE後の状態で正しいのはどれか.2つ選べ
- プロトロンビン活性が改善する.
- 血栓が発生する危険性がある.
- 止血しづらい可能性がある.
- 蛋白質合成機能が改善する.
- ALT値が改善する.
【解説】
- × 治療はがんの縮小を目的としているため,肝臓の機能そのものを改善す
ることはできない. - ○ 動脈内にカテーテルを挿入したため,動脈血栓形成の可能性がある.
- ○ プロトロンビン活性が著しく低下しているため,穿刺部位は止血しづら
い可能性がある. - × 1と同じ.
- × 1と同じ.
【正解②③】
【問題3】
順調に経過し,明日退院となった.退院指導で適切なのはどれか
- むくみや体重の変化に注意する.
- 食直後の運動は効果的である.
- 食事で鉄分の摂取を増やす.
- 半年間の休職を勧める.
【解説】
- ○ 低アルブミン血症であるため,血漿膠質浸透圧低下による浮腫や腹水の
可能性がある.自宅で簡便に診断するためには毎日体重測定を行ったり,
浮腫の出現に注意する. - × 肝臓の庇護のためには食後の安静が必要である.
- × 鉄欠乏性貧血の情報はないため,特に必要ない.
- × 一般に入院期間が約1週間で退院後さらに1週間の自宅療養の後社会復
帰が明確となる.
【正解①】