先

今回は点滴静脈内注射を受けている患者の観察点のポイントについて説明します。

先c

この看護技術でやってしまいがちなのは、「入りやすい血管に刺したら点滴禁側の手足だった!」

先c

「なんとなく腫れっぽいけど、今は滴下しているからそのままにした!」などのミスね

新cry

私も点滴静脈内注射は前は苦手でしたが!!

新

最近はいい血管を探すコツを掴んだので自信があります!

先H

そうね!!苦手な人も多いけど、手順とコツさせ掴んでしまえば大丈夫!

先

それと観察のポイントをしっかり理解することも大切ですよ。

点滴静脈内注射の大切なポイント

・点滴静脈内注射の基礎知識

・点滴の計算方法

・静脈内投与前の観察

・静脈内点滴の実際

・静脈内点滴中の観察

今回のテーマで特に注目なのが以下の4つです。

○吸収速度と特徴
○目的・適応
○点滴速度の計算方法√
○点滴中の患者の観察

静脈内点滴は治療効果が高い治療ですが、重篤な感染症や静脈炎を起こすこともあります。基礎知識から手順、観察ポイントまで、しっかりとおさらいしましょう!

点滴静脈内注射の基礎知識

1.定義

薬液や栄養物の投与あるいは輸血などで、長時間かけて一滴ずつ静脈内に注入する方法」(デジタル大大辞泉)とされています。

2.吸収速度と特徴

薬剤吸収速度は、静脈内投与>直腸内投与>筋肉内投与>皮下投与>経口投与

薬物が直接血管に入り、静脈から大静脈→心臓→大動脈→全身へと薬剤が通過する多め確実かつ急速に薬剤を体内に投与することができる。

投与後すぐに薬物の血中濃度が上昇し、一定に保つことが保つことができる

点滴静脈内投与は、速度が速すぎると心臓は肺に負担がかかり、肺水腫や呼吸不全を起こす危険があり、適切な投与速度に管理する必要がある

汚染された点滴やルートを介して、急速で重篤な感染症を引き起こすこともある

3.目的・適応

点滴静脈内注射 目的・適応

①脱水などにより体に不足している水分補給のため

②電解質バランスの補正・維持を図るため

③意識障害や消化管疾患等、経口摂取の不可能な患者への水分・栄養補給のため

④抗生物質等、治療上必要な薬剤を投与するため

⑤手術や緊急時など全身管理が必要な際の血管確保のため

点滴の計算方法

新!

点滴の計算方法について、再確認しましょう!

Point:滴下数の計算方法

例)一日投与予定量 点滴500ml×4本=2000mlを24時間で滴下予定

成人輸液ライン(20滴≒1ml)の場合

全体輸液量(ml)/かかる時間(分) ×20
なので、2,000/24×60 ×20≒28 (2秒に1滴)

小児輸液ライン(60滴≒1ml)の場合

全体輸液量(ml)/かかる時間(分) ×60
2,000/24×60 ×60
(60が分子・分母にあるので実際あ2000/24)≒83滴(1分間に83滴)
ということになります。

小児輸液ラインの1分間の滴下数の1/3が成人輸液セットの1分間の滴下数になります。

輸液ポンプの場合は、必ず機種を確認しますが
予定量=2,000mlをセット
流量(時間投与量)≒83と設定します

Ⅱ.静脈内投与前の観察

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点滴に関すること、患者に関することそれぞれの観察ポイントを確認していきましょう!

点滴に関する観察、確認事項

・患者名と注射オーダーの確認(必ずダブルチェック)
・薬剤名、薬効、点滴内に混注する薬剤の有無
持続点滴なのか、終了後抜針なのか、持続であれば一日投与本数・投与量を確認
・抗生剤等の側管があるのか、滴下指定時間の確認
・時間当たりの滴下数、滴下速度の確認

患者に関する観察、確認事項

・点滴前の患者の状態を把握(バイタルサイン、意識レベル、せん妄や不穏などの状況)
・患者の疾患名、病態、点滴を行う目的
・既往症、禁忌薬剤の有無、アレルギーの有無
・服用中の薬剤

  • (抗抗凝固剤の服用は必ずチェックを行う)

・点滴に関する理解
・環境整備
・排泄の有無

Ⅲ.静脈内点滴の実際

薬剤の準備

新!

薬剤の準備は6つの行程がありますね!


6つの行程

① 点滴の準備は、清潔でほこりの立たない場所で行う

② トレイ・処置台を清拭用クロス等で拭く

③ 注射箋と点滴・点滴内容をダブルチェックで確認し、トレイに準備する

④ 感染予防策に基づき手洗い・手袋の装着を行う

⑤ 清潔操作で、点滴内に薬剤を点注し、点滴ラインを点滴ボトルに刺し、ライン内を薬剤で満たす。

⑥ 使用したアンプルは、再度注射箋を確認し、施設のマニュアルに準じて保管・破棄する

薬剤の準備の注意事項
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合わせての薬剤の準備時の注意事項もおさらいしておきましょう!

注意事項
・バイアルやアンプルは商品名・量のみでなく、使用方法(静・点滴専用などの表示)も確認する。
・アンプルはガラス片が飛ばないようアルコール綿を巻いてカットする。
・バイアルキャップを外したら、アルコール綿で消毒。
・薬剤を吸ったり、注入する際には泡を立てずゆっくり行う。
・混注後の点滴ボトルはゆっくり撹拌する。

必要に応じて、延長チューブや三方活栓を接続してから薬液を満たす。

穿刺準備〜ワゴンの準備物を確認〜

新

いよいよ穿刺ですね


先

焦らず!まずはワゴンの準備物を確認しましょう

ワゴン準備物
①用意した点滴+点滴セット+注射箋
②指示されたゲージの留置針(主に18~22G)数本
③アルコール綿等の皮膚消毒綿 (患者の禁忌薬剤を確認し適切な消毒を準備する)
④駆血帯
⑤清潔な手袋
⑥固定用ドレッシング 絆創膏 処置用シート
⑦点滴スタンド、必要時輸液ポンプ
⑧針捨てボックス 透明なゴミ袋(針以外のゴミ捨て用)…等

留置針の穿刺・固定、11の手順

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落ち着いて一つ一つ手順をクリアしながら丁寧に行いましょう

留置針の穿刺・固定の手順とポイント

①患者に点滴を行うことを説明し、患者確認を行う→ダブルチェックで行う
(ネームバンドのチェック、なければ氏名・誕生日を患者に言ってもらい、注射箋と確認)

②穿刺予定部位の下に、処置用シートを引く

③清潔な手袋をする

④予定部位を十分露出し、穿刺部より上に駆血帯を軽くしめる(指2本が入る程度の強さ)

⑤静脈の走行を確かめた後、穿刺部の消毒を行う

⑥静脈を伸展するように皮膚軽く押さえ、15~20度の角度で穿刺し、逆血を確認

⑦駆血帯を緩め留置カテーテルを進めながら穿刺針を抜く

⑧針は針捨てボックスに捨てる

⑨点滴をつなげゆっくり点滴を落とし始め穿刺部の腫れ・疼痛を確認

⑩留置カテーテルと延長チューブの接続をしっかり確認後、固定用ドレッシングで確認
→固定方法は、施設のマニュアルに従う
→固定時は、患者の体の向きや動きなどで滴下が影響されないように固定する

⑪場合によっては、点滴ボトルを下げ、逆流を確認してから点滴速度を指示通
りにセットする。

手順は多いですが、ダブルチェックの徹底と施設のマニュアルを遵守して進めましょう

翼状針の穿刺と固定のポイント

先

留置針の穿刺・固定についても確認しておきましょう!

留置針の穿刺・固定

①~⑤の行程は同様です。

⑦ 静脈を伸展するように皮膚軽く押さえ、翼状部を2つに折り曲げて持ち、15~20度の角度で穿刺し、逆血を確認する

⑧ ゆっくりと点滴を滴下し、皮膚の慣れや痛みがないこと、挿入部の皮膚が押されていないこと、針が血管壁にあたっていないことを確認する。

固定方法は施設のマニュアルに準ずるが、ループ固定を行う。

翼状針は漏れやすいため、固定しやすく皮膚があまり動かない場所を選びましょう。針先が血管を傷つける可能性が高いため、ゆっくり挿入し、固定に注意する。

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慣れてしまい雑になってはいませんか?手順を再確認して一つ一つ丁寧に行っていきましょう。

いい血管を探すコツと点滴に適さない部位は?

いい血管を探すコツ

・太く弾力のある血管を選択

・より抹消側の血管を選択

・穿刺針の固定がしやすい部位を選択

・血管が見えにくい時は、腕を温めてから穿刺する

穿刺を避ける部位

・浮腫や損傷がある四肢

・麻痺側、

・シャント側

・血管硬化が進んでいる場所

・医師の指示で禁忌の場合(皮弁予定、乳がん等の患側側上上肢など)

点滴に適さない部位

・関節に近い血管

・下肢血管(深部血栓症を起こしやすいため)

・穿刺に失敗した部位より下流の血管(表面上は止血確認できても漏れる可能性があるため)

・利き手側

・蛇行している血管

・神経や動脈に隣接した場所

・出血斑や硬結がある場所

Ⅳ.静脈内点滴中の観察

注射部位の観察

1、注射部位の発赤、腫脹、疼痛、出血、液漏れの有無と程度

2、固定用ドレッシングやテープに剥がれ等がないか

3、点滴ボトルと患者の体位に問題はないか、血液は逆流していないか

点滴の管理と観察

1、点滴に示された患者の氏名、点滴の順番の確認(点滴を見るたびに確認する)

2、点滴の残量、滴下速度の確認、
(輸液ポンプであれば、積算量・予定量・流量の確認)

3、点滴ラインの屈曲やねじれ、接続の緩みや漏れ等がないか

4、クレンメの位置に変化がない、正しく調節されているか

静脈内点滴中の患者の観察は、点滴スタンド~点綴ボトル~点滴ライン~患者の順に指さし確認で観察していくと、チェックポイントに落ちがなくなります。習慣づけてみて下さいね

点滴中の患者の観察

1、バイタルサインや意識レベルの変化の有無や程度

2、発汗等が見られていないか、皮膚の変化も確認

3、尿の性状、量の確認(IN-OUTバランスのチェック)

4、苦痛のない体位が取れているか

5、点滴に対する不安感や苦痛を感じていないか

6、ナースコールの位置、点滴スタンドの位置の確認

点滴をすることは患者にとってとても緊張する体験です。身体に変な力が入ってしまったり、ストレスで高齢の方はせん妄症状を起こすきっかけにもなります。

点滴中はできるだけ、患者が過ごしやすい体位・環境を作るとともに、こまめに訪問し声をかけるようにします(点滴だけみて退室するのは避けます)。

静脈内点綴の合併症:静脈炎と血管外漏出

血管外漏出とは?

「血管内に注入されずに、血管外(多くは皮下組織)に漏れること

自覚症状
注射針(留置針)部位周囲の不快感や腫れ、圧迫感、しびれや痛み

外観変化
漏出初期には注射部位およびその周辺の発赤・腫脹がみられ、薬剤に内容によっては、数時間から数日後に炎症が進行し、水泡形成や硬結、潰瘍や壊死に至るものもあります。

静脈炎とは?
静脈壁内膜の炎症の事で、穿刺部より上の血管に沿って発赤や痛みが出現します。

静脈炎を生じると、血管壁の肥厚や血管収縮による血流低下がみられ、血栓が起こりやすくなり、点滴つまりや血管外漏出の原因にもなります。

静脈炎には
①化学的静脈炎
②機械的静脈炎
③細菌性静脈炎があります。

患者が刺入部周辺に痛みや腫れぼったさを訴えたり、外観の変化を認めた時は、点滴を中止し、指示を仰ぎます。

薬剤によっては温めることも冷やすことも避けた方がいい場合もあります。
まずは、それ以上に薬剤が入らないように点滴を止め、漏れた可能性がある薬剤を確認し、医師や薬剤師に対応を確認することを習慣にしましょう

静脈内点滴終了後の観察ポイント

○留置カテーテルを抜去後、止血バンドを利用し5分以上止血を行う

○止血が確認できたら、止血絆創膏を貼る

○穿刺部の痛みや腫れ、硬結を確認するとともに、患者に再出血や痛み、腫れ等が生じた際にはすぐに連絡することを指導する。

○血管漏出は数時間~数日後に発症する場合もあるため、点滴漏れを起こした患者の皮膚観察は十分行う。

○患者の状態、バイタルサインのチェック、検査データの把握

 

静脈内点綴施行中の観察・看護だけなく、抜針後の観察も十分配慮する必要があります。特に高齢の方は、抗凝固剤を服用している方も多く、対処能力も低下しています。皮膚トラブルを予防することも大切な看護です。

また、点滴施行が行われる理由となった症状が改善したのか、点滴により腎機能や肝機能に変化がなかったのかを確認することも忘れずに行いましょう!

まとめ

静脈内点滴は、急速に薬物濃度を上昇させ、治療効果が高い治療です。

しかし同時に、ルート感染が起こると、そのまま菌が血液に入り重篤な感染症や静脈炎を起こすことがあります。また、急速に点滴による負荷がかかる事によって、肺水腫や呼吸・腎不全を起こすこともあります。

清潔操作と十分な観察・適切な点滴速度管理が求められる静脈内点滴。

その目的・効果・注意事項・観察ポイントを押さえて下さい。