患者の状態に合わせて安楽に体位を保持するポイント

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体位保持(ポジショニング)とは、自らの身体を支え、体位を保持できない患者さんに対して、身体の一定部位への過重な加圧、皮膚の血流遮断、胸郭や腹腔内臓器への圧迫などを回避し、エネルギー消耗を軽減させ、身体的にも精神的にも安楽な体位を保つための援助技術です。

事故防止のポイントは。

  • 良肢位を保持する
  • 禁忌の体位の防止(麻痺側は原則として下側にしないなど)
  • 長時間の同一部位圧迫に伴う血液循環障害の防止
  • 輸液ラインやドレーン、チューブ類のねじれなどの防止

目次

安楽に体位を保持する目的

  • 臥床している状態でできる限り安楽に休めるように、身体とベッド上との隙間を補正し体位をとる。
  • 同一体位によって発現する身体的・精神的な苦痛や悪影響を軽減する。
  • 気道クリアランスや呼吸困難を軽減し、肺容量やガス交換を増加させ、下側肺障害を改善する
  • 交感神経活動の賦活や大脳刺激の増大に伴い大脳覚醒を促進する
チェック項目
  • 体位保持が可能かどうか:意識レベル、麻痺や拘縮、体力低下など
  • 身体状態:体格、骨の突出の有無、循環状態、呼吸状態、栄養状態、浮腫の有無、疼痛の有無
適応
  • 長期臥床が予測される患者さん
  • 自分で体位変換を十分に行うことができない患者さん(手術後、意識障害、麻痺など)
  • 動きや体位に制限や注意が必要な患者さん
  • 気道分泌物の排出が困難な患者さん、換気血流比不均衡が存在する患者さん

必要物品・手順

必要物品

体位変換用クッション、枕、毛布、タオルなど

手順

患者さんの状態をアセスメントする
患者さんの病歴、身体状況(意識レベル、麻痺や拘縮、循環動態など)、安静度、装着器具などを確認する

患者さんの状態から、体位変換・体位保持の是非を判断し、適切な体位を選択する必要があるわね。同時に、体位を変える際や体位を保持する際の禁忌事項、注意事項を確認すること。

患者さん本人であるかを確認し、患者さんの症状や訴えをアセスメントする

リストバンドや本人による名前の申し出などで確認します。バイタルサインのほか、息苦しさ、疼痛や苦痛を感じる部位がないか確認することも重要ね。

目的とともに方法を説明し、同意を得る

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引用元 札幌病院

環境を整え、必要物品を準備する

必要物品を準備する
  • ベッド周囲の環境を整え、ベッド上やベッド周囲に必要なスペースを確保する
  • 必要に応じてカーテンがスクリーンを使用し、プライバシー保護に努める
  • 衛生学的手洗いを行う

⇒同時に体位変換・体位保持の援助に必要な作業人員を確保します。ボディメカニクスの原理を考慮し、ベッド上およびベッド周囲の不要なものは片付けます。また、ベッドの高さも調節します。

ここで衛生学的手洗いを行う根拠は微生物の伝播を予防するためなのね。

患者さんの準備をする

患者さんの身体に装着・挿入されているルート類(点滴ライン、ドレーン、酸素チューブなど)の固定状況を確認し、ルート類にゆとりをもたせる。

ルート類にゆとりをもたせるのは体位の変換に伴い、ルート類の引きつれや抜去を回避するため。これは重要よ。

ドレーンや点滴などにクランプ(一時閉鎖)が必要な場合は、必ず体位を変換する前に行う必要があるわね。

掛け物を外し、使用しているクッション類を外し、ベッドを平らにする

頭部の枕ははずさずに、患者さんの羞恥心や保温にも気を配ってね。

結構気を付ける箇所ありますね

ポジショニングを実施する

仰臥位の場合

患者さんを側臥位にし、背面の体圧がかかる部位の観察を行うとともに、衣類やシーツのしわを伸ばす

仰臥位では、後頭部、肩甲骨部、仙骨部、踵骨部に体圧がかかりやすいため、事前の状態観察がとても重要よ。

衣類やシーツのしわなどによる局所的な圧迫が生じるのを回避するために、しわを伸ばすのですね。

  • 患者さんを仰臥位にし、正面から見て脊柱が一直線になるよう整える
  • 頭部の枕を、肩、頸部、頭部にかけて当たるよう位置を整える
  • 背面に手を入れて、空間のある部分を確認し、身体とベッドの隙間をタオルや小枕などで埋める

こうすることで脊柱の生理的な彎曲が保たれて、かつ支持基底面をさらに広くすることで体位が安定し、さらに圧力が分散されるわね。

  • 両上肢を軽く外に開き、肩関節の下、上腕・前腕の下に左右それぞれにクッションを置く

肩や上腕の重みによる肩甲帯への負担を回避するために以下の点がポイントよ。

  • 肩甲帯びは中間位~やや屈曲位を保つ
  • 肩関節は10~30度に外転
  • 肘関節は90度程度の屈曲を保持
  • 手指の位置は心臓より高くし、浮腫を防ぐ
  • 両膝関節を軽く曲げ、膝下に枕を挿入する

膝関節を屈曲させると腹部、大腿の緊張を緩和できるわ。
膝関節は10~15度に軽く屈曲を保持するといいわね。

  • 下肢の外転・外旋を防ぐために、両膝間が5㎝ほど離れるぐらい開脚させ、大転子から大腿部に小枕などを当てる

下肢は外旋位となりやすく、長時間の同一体位によって腓骨頭への圧迫をまねき、神経を損傷しやすいわよ。股関節は15度程度軽く外転させて、10~30度屈曲して、内旋・外旋中間位とすること。

  • 足関節は0度に保つよう足底部に枕などを当てる